Clásicos japoneses con furigana
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むげつものがたり
無月物語
久生 十蘭
Lee 無月物語 (むげつものがたり) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.485 caracteres · 36 pantallas
母がちがえばこんなに面白く暮らせるのかと、子供心にも不審をおこしたくなるくらいだったが、とりわけ敏感な花世は、急に新しい世界がひらけたような思いで、公子こそは自分を生んだ実の母ではなかったかと、うつらうつらするようなこともあった。
泰文は公子が子供らに馴れすぎるのを面白くなく思っていたが、さすがにそうはいいかね、子供らにあたりちらしてわけもなく鞭で打ったりした。泰文の不機嫌の真の原因は、上の娘がそろそろ嫁資をつけて嫁にやらなければならない年頃になっていることで、そのことが頭にひっかかると、むしゃくしゃしてつい苛立ってしまうのである。泰文としては、どう考えてもそういう無意味な風習と折合をつける気にならないので、いっそのこと邸を尼寺にしてしまえとでも思ったのか、北ノ坪の入口に築泥の高塀をつくり、善世という頑な召次のほか、男と名のつくものは一切奥へ入れぬようにしたが、間もなく姉娘の葛木姫が泰文の眼をぬすんで法皇に嘆願の文を上げたので、泰文のたくみは尻ぬけになってしまった。父は娘を家から出すことを嫌い、北ノ坪におしこめて手紙の往来さえとめ、事ごとに鞭や杖で打つので辛くてたまらない、嫁入るなり尼寺へつかわされるなり、この苦界からぬけださせるようにしていただきたいと書き、