Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lee 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.705 caracteres · 173 pantallas

Aozora Bunko

「どうしたっ!」

総勢取りかこむ。中之郷が、ぐったりしている川島のもとどりを掴んで、顔を引き上げる。と、どうだ! 額部に書いてあるのだ――「酒の肴に進上」と、墨黒ぐろ。

両手の指はすっかり切り離され、血に染んだ摺り古木のような、なんとも異妖なすがた!

与七郎は、虫の息で、

「驚いた。恐ろしくできるおやじだ。一言いうと、黙って小刀が飛んで来て、ぱらり、十本の指が飛んだ。それから――それから、押さえつけられて、額部に墨で何か書かれたまでは覚えているが――。」

二階は、しんとしている。

暴風雨は、ちょっと小止みになって、一瞬間の不気味な静寂――階上には、法外父娘の部屋の障子に、ぼうっとあんどんの灯が滲んで人のいそうもない気配。

呼吸を詰めて一同が、はっと階上を見上げたせつなである。

「うわっ! こりゃ、なんとしたことじゃい! この猿の湯でお猿さまを斬り殺すとは――!」

土間の男衆が、つん裂くような声で叫んだ。

と、見る。片手に傘をさし、かた手に小さな猿の死骸をぶら下げた祖父江出羽守が、切戸を潜って、のそりとはいって来ている。

「畜生のくせに、湯へはいりに来おったから、一刀のもとに、このとおりじゃ。