Clásicos japoneses con furigana
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もゆるほお
燃ゆる頬・聖家族
堀 辰雄
Lee 燃ゆる頬・聖家族 (もゆるほお) de 堀 辰雄 (ほりたつお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 71.309 caracteres · 144 pantallas
――ノルマンディ海岸のバルベックに少年がはじめてお祖母さんと一しょに到着した晩のことである。彼等はグランド・ホテルに泊る。彼は自分の部屋にはいる。長い旅のあとなので、すこし熱気を帯び、ぐったりと疲れて。しかし眠ることは、こんな見慣れぬ家具類のなかでは、とても出来そうもない。習慣が、時計の音を黙らせたり、菫色のカアテンの敵意を弱めたり、家具を動かしたりする余裕がないのだ。こんな気味の悪い部屋のなかに、と云うよりも、まるで野獣の洞窟のような中に、たった一人きりで、四方八方から異形のものに取り囲まれているよりか、むしろ死んでしまいたいと少年は思う。お祖母さんがはいって来て、彼をなぐさめ、彼が靴のボタンをはずすのを手つだい、着物をぬがせ、彼をベッドに入れてくれ、そしてそこを立ち去る前に、もし夜中に何か彼女にして貰いたいことがあったら、彼の部屋と彼女の部屋との間の仕切りをノックするようにと言い残して行く。彼がノックをすると、お祖母さんはすぐ来てくれる。しかしその夜をはじめ、それから幾夜となく、彼は苦しむ。――彼は愛人のジルベルトなしに何時までも生きなければならないのではないかという考えや、彼の両親を永久に失うのではないかという考えや、彼自身の死の考えに恐怖しだす。