Clásicos japoneses con furigana
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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Lee 犬田卯短編集 一 (こぶ) de 犬田 卯 (いぬたしげる) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 48.259 caracteres · 96 pantallas
黙々としてやって来た彼は、どっかと床の間の正面へ座って、まず煙草に火をつけ、それからぐるりとみんなを見渡した。田辺ともう一人の新顔がここぞと思って挨拶すると、村長は別に気にとめるという風もなく、「ああ……」と一つうなずいただけで、やおら紫煙を吐き、小使の汲んで出す渋茶にも眼もくれず、いきなり猥談をはじめた。
「昨夜は弱ったぜ、『しん六』サ引張ってゆかれたはまアいいが、あいつがいやがって……あんなところに。あの『鶴の屋』にいた小便くせえハア子の野郎さ、あいつが君、くりくりした眼のいい加減のやつになってやがてからに、俺を見たら、へんな顔してしまって、畜生――」
「あれッ、あの阿女っちょか」と助役が頓狂な声を上げた。
「それで奴、どうしても俺の前へ出て来ねえ。呼ぶとますますそっぽ向いてからに、畜生。」
「そんなこと言って村長、それからあとでもてっちまって、今朝おそくなったんだねえのか。」
これは村議の一人、村で米穀肥料商を営んでいる沢屋の旦那である。
「そんなら文句はねえが、俺も悲観しちまったな。いくら呼んでもそばへも寄って来ねえときては……俺もこれ、いよいよ女には見離されるような年頃になったかと思ってな、はは、ははは……」