Clásicos japoneses con furigana
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
Lee 犬田卯短編集二 (いちろうじん) de 犬田 卯 (いぬたしげる) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 51.383 caracteres · 103 pantallas
彼がああなる前に収穫した籾が、俵に五六十残っているが、そいつを小出しに、ぽつぽつ食っているらしいとのことでもあった。
「こないだ郵便物が来たから持って行ったら」とこの話をした私の友人――××局の配達夫をやっている――が真面目な顔でつけ加えるのであった。「相変らず堆肥のような蒲団の中に、この暑いのにもぐっていて、そんなものわざわざ持って来てくれなくてもよかったっけな……なんて、手紙を受取ろうともしないんだから……」
「百円札が入っていたかも知れないのにな。……それはとにかく、気狂いかね。」
「いや、気は人並み以上に確かですよ。議論をはじめたとなると滔々として政治問題、社会問題、人生問題、なんでもやるんですからね。」
友人の話を総合すると、数年前妻に死なれてから、彼のそうした新生活がはじまったとのことだった。婿であった彼は、それまでは人一倍の働き手だったし、真面目一方の若者だった。
それで解る。彼はこの社会に絶望したのだ。そしてそれっきりになってしまったのだ。が、それはとにかく、このニヒリスト先生、つい過日のこと、のこのこと万年床から這い出して、草蓬々の自分の畑をうなったそうである。