Clásicos japoneses con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lee 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 144.507 caracteres · 291 pantallas
の二十円を市野さんとわたくしとで二つ分けにしました。初めの約束では少なくも月に五、六度ぐらいは逢いに来てくれるはずでしたが、市野さんは大嘘つきで、その後ただの一度も顔をみせないという始末。おまけにその茶屋というのが料理は付けたりで、まるで淫売宿みたいな家ですから、その辛いことお話になりません。ひと思いに死んでしまおうと思ったこともありましたが、やっぱり市野さんに未練があるので、そのうちには来てくれるかと、頼みにもならないことを頼みにして、ともかくもあくる年の三月ごろまで辛抱していると、家の方からは警察へ捜索願いを出したもんですから、とうとうわたくしの居どころが知れてしまって、兄がすぐに奉公先へたずねて来て、わたくしを連れて帰ってくれました。
それでわたくしも辛い奉公が助かり、恋しい市野さんの家のそばへ帰ることも出来ると思って、一旦はよろこんでいたんですが、帰ってみるとどうでしょう。わたくしのいないあいだに市野さんは自分の家を出て、福岡とかの薬学校へはいってしまったということで、わたくしも実にがっかりしました。そんならせめて郵便の一本もよこして、こうこういうわけで遠方へ行くぐらいのことは知らしてくれてもいいじゃありませんか。