Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lee 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 179.399 caracteres · 353 pantallas
と、懸引をしているんじゃないかな。彼女にしたって今まで贅沢に馴れて来たのが、あんな社会の人間の中で暮らせないことは分っているんだ。そうかと云って外の男の所へ行っても、己ほど彼女を大事にしてやり、気随気儘をさせて置く者はありゃしないんだ。ナオミの奴はそんなことは百も承知で、口では強がりを云いながら、迎いに来るのを心待ちにしているんじゃないかな。それとも明日の朝あたりでも、姉か兄貴がいよいよ仲裁にやって来るかな。夜が忙しい商売だから、朝でなければ出られない事情があるかも知れない。何しろ使が来ないと云うのは却って一縷の望みがあるんだ。明日になっても音沙汰がなければ、己は迎いに行ってやろう。もうこうなれば意地も外聞もあるもんじゃない、もともと己はその意地でもって失策ったんだ。実家の奴等に笑われようと、彼女に内兜を見透かされようと、出かけて行って平詫りに詫まって、姉や兄貴にも口添えを頼んで、「後生一生のお願いだから帰っておくれ」と、百万遍も繰り返す。そうすれば彼女も顔が立って、大手を振って戻って来られよう。
私は殆どまんじりともしないで一と夜を明かし、明くる日の午後六時頃まで待ちましたけれど、それでも何の沙汰もないので、もうたまりかねて家を飛び出し、急いで浅草へ駈け付けました。