Clásicos japoneses con furigana
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しろくれない
白くれない
夢野 久作
Lee 白くれない (しろくれない) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 24.846 caracteres · 50 pantallas
やがて莞爾として打ち笑ひ、六部殿、庫裡の方よりお上りなされよ。御勤めも去る事ながら夜もすがらの御難儀、定めし御空腹の事なるべし。昨夜の残りの粟飯なりとまゐらせむと云ふ。その音吐朗々として、言葉癖、尋常ならず。一眼にて吾が素性を見貫きたるものの如くなり。
されども、われ聊かも悪びれず。言葉の如く庫裡に入りて笈を卸し、草鞋を脱ぎて板の間に座を占め、寺男の給仕する粟飯を湯漬にして、したたかに喰ひ終り、さて本堂に入りて持参の蝋燭を奉り、香を焚きて般若心経、観音経を誦する事各一遍。つく/″\本尊の容態を仰ぎ見るに驚く可し。一見尋常一様の観世音菩薩の立像の如くなるも、長崎にて物慣れし吾眼には紛れもあらず。光背の紋様、絡頸の星章なんど正しく聖母マリアの像なり。さてはと愈々心して欄間の五百羅漢像をかへり見るに、これ亦一つとして仏像に非ず。十二使徒の姿に紛れも無し。かゝる山間の、人の通ふとも見えぬ小径の奥に立て籠もり、禁断の像を祭り居る今の和尚は、よも一筋縄にかゝる曲者にはあらじ。よし/\吾に詮術あり。吾を敵とせば究竟の敵とならむ。又味方とするならば無二の味方となるべしと心に深く思ひ定めつ。