Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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しほんたいへいき

私本太平記(四)

吉川 英治

Lee 私本太平記(四) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 229.324 caracteres · 458 pantallas

Aozora Bunko

「いや、かまわん、何だ」

「ちと」

わざと外に控えたままでいた。すると、高氏になだめられつつ、眼を泣きはらした千寿王と竹若が、廊へ出てきて、中の坪の向うへ渡って行った。

直義は、それに眼もくれず、すぐ兄の前へすり寄った。

「ときもとき、妙な男が、天から降って来たように御門前へまいりましたが」

たれか? と高氏がきくと、直義はともかくこれを先にと、その男が持参した一状をまず見せた。――一色右馬介の筆で、名宛ては直義になっている。

「…………」

高氏は熟読して、弟へ返した。

「ひとりか」

「ひとりです」

「岩松経家の実弟吉致というのだな。それでみれば」

「はい。一見ただの旅商人にすぎませんが、ちょっと話してみても尋常な骨柄でないことはすぐ分りました。なにせい、隠岐のご配所まで忍んで渡ったと申すほどな男ですから」

「もう、訊いてみたのか、用むきは」

「いやいや、身素姓と、右馬介のことなどを、ことば少なく申しただけで、密々な大事の儀は、足利殿直々ならではと、かたく口を守っておりまする」

「どれ、もういちどそれを」

と、高氏は再度、右馬介の手紙を仔細に見て、やっと信をおいたようだった。