Clásicos japoneses con furigana
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くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん
空中漂流一週間
海野 十三
Lee 空中漂流一週間 (くうちゅうひょうりゅういっしゅうかん) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 17.324 caracteres · 35 pantallas
「おいキンチャコフ。俺を撃つのはいいが、そんな無理な姿勢じゃ、命中しやしないよ」
「火の玉」少尉が、流暢なロシア語で一喝した。
「なに、どうしてこっちの名を……」
怪ソ連人は、相手の日本人がいきなりロシア語を喋りだしたうえに、自分の名前まで呼んだのであるから、びっくりしたのも無理ではない。尤も「火の玉」少尉としては、ロシア語なら得意中の得意だし、キンチャコフの名は、××陣地を出る前に庶務の老人から聞いたのを、このとき思い出しただけのことだ。
「おいキンチャコフ。貴様が××陣地で皆に追駈けられて、仕方なくここへとびこんだことは知っていたぞ」
「それがどうした。なにが仕方なくだ。わしはこの気球で脱れるつもりだから、繋留索をナイフで切ってしまったんだ」
「そんなことは云わなくとも分っているぞ。貴様は、この気球でうまく脱れられるつもりなのか」
「脱れなきゃならないんだ」
「脱れるといっても、この気球は風のまにまに流れるだけなんだ。どこへ下りるか、それとも天へ上ったきりで下りられないか、分ったものじゃない」
「出鱈目をいうな、日本人。気球はいつかは地上に下りるもんだ。天空に上ったきりなんてぇことはない」