Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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かまどのなかのかお

竈の中の顔

田中 貢太郎

Lee 竈の中の顔 (かまどのなかのかお) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 7439 caracteres · 15 pantallas

Aozora Bunko

「またいけない、これとこれが繋がった、お客さん、また負けました、もう駄目です」

主翁はがっかりしたように云った。三左衛門の笑い声が起った。

「今日は負けるはずじゃなかったが、どうした」

「どうも」

主翁は右の耳際を軽く掻いてからその眼を僧の方へやった。

「お坊さん、どうだね、私はどうも駄目だ」

「私も好きだが、どうも下手でな」

「同じ対手より、ちがった対手が面白いものじゃ、ひとつやったらどうだな」

僧は厭でないと云う顔をした。で、三左衛門が云った。

「ひとつ願いましょうか」

「とてもお対手になりますまいが」

僧はそう云い云い縁側へあがって胡坐をかくようにした。

「そこは板の上だ、どうかこちらへ」

三左衛門は僧を畳の上へあげようとした。僧は頭を掉って応じなかった。

「私は、石の上や板の上に慣れておる」

そこで三左衛門は碁盤を前へ出して、一方の脚を敷居の上に載せるようにした。

「私とあなたとは、どうも互角のようだ、私が先で往こう」

僧は主翁の出した碁笥に手をやった。

「私が先で往こう」

三左衛門の詞の中に僧はもう石をおろした。

「それはいかん、私が先で往く」

「まあ、今度はこれで願いましょう」