Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ちくはくき
竹柏記
山本 周五郎
Lee 竹柏記 (ちくはくき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 45.798 caracteres · 91 pantallas
「寝間のお支度ができました」
こう云われて、ふり向くと杉乃がいた。呼び起こされたのである。ああと答えたが、彼はと胸を衝かれた。妻は髪をといて束ね、白無垢を着ていた。顔には濃い化粧をし、京紅を付けていた。
――なにか異常なことが起こる。
孝之助はそう直感しはっきりと眼がさめた。
「寝るまえに話がある、顔を洗って来るから此処で待っていて呉れ」
彼は逃げるように立っていった。
夜はかなり更けたらしい。高安は昔から夜の早い習慣であるが、冷える気温や、ひっそり寝鎮まったようすでは、十二時ちかいのではないかと思えた。居間へ戻ると、杉乃は元の位置にうなだれて坐っていた。
「今日は済まなかった」
孝之助は正坐して云いだした。
「黙って伴れていったうえに、あんな扱いを受けて、さぞ肚が立ったろうと思う、いや待って呉れ、話というのはそのことではないんだ、まずこれを詫びておいてから、聞いて貰いたいことがあるんだ」
杉乃はなにか云おうとして、またそっと俯向いた。
「私がおまえを娶ったときのことは、知っているね、おまえが望んではいなかったのを、無理に娶った、まったくおまえの意志に反し、おまえの兄の鉄馬も、北畠の叔母も反対だったのを押し切って妻に迎えた、それは私がおまえを愛していたのと、もう一つは、岡村八束という人間を誤解したためだった、…