Clásicos japoneses con furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lee 聞書抄 (ききがきしょう) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 108.821 caracteres · 210 pantallas
ように頼りになさるものですから、わたくしもどんなに有難く勿体なく思っておりますことか、今日もお帰りがおそいのを案じてあの松の方ばかり見守っていますので、田を打つことも一向に身にしみませぬ、と、そう云ってさめ/″\と泣くのでした。わたしはあまり不便に思い、こう云う賤しい男でもこれほどのなさけは知っているものを、自分は何と云う邪慳なことをしたのだろう、この私こそその六郎左衛門入道なのだと名のってやろうかと思いましたが、いや/\それでは長の年月の修行が無駄になってしまうと考え直して、まあ、ほんとうに有難い事です、何処の世界に尉殿のような志の人があるでしょう、あゝ、お気の毒な、世の中にこんな哀れなことがあるでしょうか、そのいとけない人たちのおん歎きを思いやっては、何とも申しようもありませぬ、愚僧も実はそれほどの事迄はありませんけれども、それによく似た思いをしたことがあるのです、何より頑是ない人の父や母におくれたのほど悲しいものはありませぬと申して、ころもの袖を顔にあてゝ泣きますと、さてはお僧も昔そう云う思いをなさいました