Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lee 胡堂百話 (こどうひゃくわ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 124.386 caracteres · 248 pantallas
向島の堤から、雲水の横をはいってゆくと、伊勢物語にでもありそうな、閑雅な門にぶつかる。そこから玄関までが、飛び石づたいで、左右には、秋の七草。萩に、ススキに、芙蓉が咲いて、昼の虫が、絶え絶えに鳴く。いわゆる造庭の法則を無視して、しかも無限の味わいがあった。
『五重塔』の十兵衛を、いささか小づくりにしたように、たっぷりと厚味のある身体。和服の胸からのぞく肌の血色が鮮かで、ヒゲの先は、だらりと、天神様になっていた。
「京都や奈良の古社寺風景は、出来上がりすぎていて、つまらない。そこへ行くと関東は、千葉県から、埼玉、茨城あたり、思わぬところに妙な寺などが残っている。絵にも、詩にもならないが、小説になるのは、この方だ」
おだやかな口調でそんな話をした。国宝にもならず、周囲は、墓石ばかりという谷中の塔は、つまりその代表だったのであろう。
「関東の平原はいいですね。暁のもやに包まれた杉木立。夕べの雨の田圃道。火のような赤トンボが飛ぶ秋の空……」
博士は、ゆっくりと指を折って、
「こういうものから、庶民の文学が生れます。天下に一つというような、奇巌怪石は、いけません」