Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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かつしかみやげ

荷風随筆集(上)

永井 荷風

Lee 荷風随筆集(上) (かつしかみやげ) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 133.224 caracteres · 269 pantallas

Aozora Bunko

蒼白いガスの灯と澄み渡った夜の空との光の中に、樹木の幹は如何に勢よく、屈曲自在なる太い線の美を誇っていたであろう。アメリカの曠野に立つ樫フランスの街道に並ぶ白楊樹地中海の岸辺に見られる橄欖の樹が、それぞれの姿によってそれぞれの国土に特種の風景美を与えているように、これは世界の人が広重の名所絵においてのみ見知っている常磐木の松である。

自分は三門前と呼ぶ車掌の声と共に電車を降りた。そして前後左右に匍匐する松の幹の間に立ってその姿に見とれた時、幾年間全く忘れ果ててしまった霊廟の屋根と門とに心付いたのである。しかしその折にはまだ裏手の通用門から拝観の手続きをなすべき案内をも知らなかったので、自分は秋の夜の静寂の中に畳々として波の如く次第に奥深く重なって行くその屋根と、海のように平かな敷地の片隅に立ち並ぶ石燈籠の影をば、廻らされた柵の間から恐る恐る覗いたばかりであった。

翌日自分は昨夜降りた三門前で再び電車を乗りすて、先ず順次に一番端れなる七代将軍の霊廟から、中央にある六代将軍、最後に増上寺を隔てて東照宮に隣りする二代将軍の霊廟を参拝したのである。この事は已に『冷笑』