Clásicos japoneses con furigana
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しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
Lee 荷風随筆集(下)〔全2冊〕 (しょうたく) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 36.633 caracteres · 74 pantallas
江戸音曲の江戸音曲たる所以は時勢のために見る影なく踏みにじられて行く所にある。時勢と共に進歩して行く事の出来ない所にある。然も一思いに潔く殺され滅されてしまうのではなく、新時代の色々な野心家の汚らしい手にいじくり廻されて、散々慰まれ辱しめられた揚句、嬲り殺しにされてしまう傷しい運命。それから生ずる無限の哀傷が、即ち江戸音曲の真生命である。少くともそれは二十世紀の今日洋服を着て葉巻を吸いながら聞くわれわれの心に響くべき三味線の呟きである。さればこれを改良するというのも、あるいはこれを撲滅するというのも、いずれにしても滅び行く三味線の身に取っては同じであるといわねばならぬ。珍々先生が帝国劇場において『金毛狐』の如き新曲を聴く事を辞さないのは、つまり灰の中から宝石を捜出すように、新しきものの処々にまだそのまま残されている昔のままの節附を拾出す果敢い楽しさのためである。同時に擬古派の歌舞伎座において、大薩摩を聞く事を喜ぶのは、古きものの中にも知らず知らず浸み込んだ新しい病毒に、遠からず古きもの全体が腐って倒れてしまいそうな、その遣瀬ない無常の真理を悟り得るがためである。