Clásicos japoneses con furigana
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おちばいき
落ち梅記
山本 周五郎
Lee 落ち梅記 (おちばいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 30.748 caracteres · 61 pantallas
――だがいったいなにがどう動こうとしているのか、それはどういう意味をもつのか、その中で自分はどんな位置にあるのか。
金之助は苛々とおちつかず、不安定な暗い気持で日を送った。三月になって間もなく国許の母から手紙が来た。父の病状を伝えるもので、その後いっとき良くなったが、二月になって三度めの発作が起こり、こんどはよほど重態のもようである。勤役ちゅうのことでやむを得ないが、できるならいちど会いに戻れまいか、――そういう文面だった。そして終りのほうに、半三郎どのがまた放蕩を始めたらしく、由利江さんもお気の毒なようすだ。ということが書き添えてあった。
「――半三郎が、……またか」
金之助は苦いものでも吐き出すように口を歪めた。
父が重態だという、いまなら閑職にいるのも同様だから、そう願えば許しは出るかもしれない。けれどもいつどこから嵐が巻起こるかもわからない今、それを捨てて国へ帰る勇気は彼にもなかった。――眼に見えない周囲のぶきみな情勢、重症の父、早くもまたぐれだしたという半三郎、そして哀れな由利江、「なにもかも暗い、前も後ろも」金之助は溜息をつきながらこう呟いた。