Clásicos japoneses con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas
「うん。」
「前途なお心にかかるものあり、そう云ってましたね。」
「ああ、うまいことを云うなア。」
イエは笑った。
「大阪へ行っていたの?」
「ええ。」
「東京とどっちがいい?」
「大阪もいいですよ。」
そう云ってイエはまた笑った。笑うとやはり金歯が見えたが、それがなんだか私の眼には淋しく映った。イエは前よりずっと地味なつくりをしていた。何か私に言葉をかけてゆきたかったのだろう。
母が死んでから私は家内で一層悪い子供になった。私のためによくいざこざが起った。祖母はまた依然として私に対して意地が悪かったのである。祖母は昔から兄と私とでは分け隔てを露骨に示した。私は幼い頃の憤りが蒸し返されるような思いがした。祖母とのことから私は兄とも喧嘩をするようになった。「兄貴がおとなしいものですから、ばかにしているのです。」と祖母はよく云ったが、私としては兄に対して弟らしい気持を失ったことは一度もなかった。
一日私は昼飯後、洗濯盥を力一ぱい蹴っとばして、底を抜いてしまった。私としては祖母の頭を擲りつける代りだったのだ。まだ飯を食べていた兄は箸をおくと飛んできて私に掴みかかった。