Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas

Aozora Bunko

そしていま嘉吉は、自分の顔から死相を消してくれた人と歩いているのである。

「折角おきぬさんともお馴染になったのに、そのうち引越さなきゃならないなあ。いつまでもおかみさんに迷惑をかけているわけには行かないし。」

おきぬは風呂敷包から蜜柑を取出して、

「ねえ、食べない。」

「有難う。」

嘉吉はすぐに口に入れた。井の頭公園の入口の処に来ていた。嘉吉はおきぬをかえりみて、

「公園を抜けて行こうか。」

「そうね。」

ゆるやかな勾配の道を下りて、二人は公園の中へ這入って行った。梅の花の匂いが流れてきて、白梅の咲いているのが、外燈の明りに見えた。樹のそばに立札が立っていて、その表になにやら書いてある。

「なんて書いてあるのかしら。」

「この枝折るべからずさ。」

「なんだか歌のようよ。」

梅一りん一りんほどの暖さ  嵐雪

読みながら嘉吉は、おきぬの髪の匂いを嗅いだ。

「羽村の梅も、もう咲いているわ。」

「羽村ってどんなとこ?」

「水道の堰のある処よ。」

「いちど行ってみようかなあ。」

「近いんですから、いつでも行けますわ。」

そう云いながらおきぬは、しばらく見ない末の弟の顔が不意に見たくなった。