Clásicos japoneses con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas
その人のそぶりに冷たいものはなかったから。日が過ぎてゆくにつれ、私はまたその人の心が私を包むのを覚えた。いつかまた私はその人にたよっていた。この人はやはりいい人だと感じた。私はこちらへかえされたのを、その人の下にかえされたのを、よかったと思うようになった。
その人は年配は三十をいくつも越していなかっただろう。思いの外若かったのかも知れない。地味な威のある人柄故老けては見えたけれど。
工場でその人が帽子をとって、その短く刈った頭を私が初めて眼にした時、その坊主頭に私はちょっとハッと思った。近眼の人の眼鏡をとった顔は見直されるものだが、いつも制服制帽で臨んでいるのを見ていた眼に、その帽子をとった、髪の短い頭は新しく映った。すぐ熊谷蓮生坊が聯想された。その人は髭の剃りあとなど濃い、武者を想わせる容貌だったのだ。また私は、その人が帽子をとった際の表情には天蓋を脱いだ虚無僧の羞恥があった、などそんな文学的な形容をその場で思いついたりした。その時瞬間その人ははにかんだような表情を見せたのだ。この人はみかけよりは若いのかも知れぬと私は思った。
ここでの私達の起居のすべては種々の号令の下にあった。