Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas

Aozora Bunko

なんだかそう思えるのです。父の、母の、稀なやさしい善い心を僕はもらうことが出来ませんでした。ただ一つ僕に親譲りの顕著なる特質があります。それは母に似てひどく汗っかきなことです。死んだ母はまれな汗っかきでした。夏になると、実に玉の汗をかきました。母の働く性質を、その濃情を語りがおに、汗は満ち溢れ、流れました。母はハンカチはいつもぐしょぐしょでした。先生、僕も汗っかきなのです。とても母には及びませんが。僕は人から随分汗っかきだねと云われると、いつでも「ええ、親譲りでね。」と答えます。僕には愉快なのです。僕は自分が陰性な厭な奴だと思うので、自分にそんな、人に隠せないものがあるというのが、ひどく嬉しいのです。汗っかきということは、悪い感じのものではありませんね。父はよく独りで稽古部屋にいて、指を噛んだり、膝頭を叩いたりして、見えぬ眼をむいて、なにやら唸っていることがあります。なにに興じ、なににわれを忘れているのでしょうか。僕もよく二畳の部屋にいて、指の背を噛みながら、止めどない想いに耽ります。これは父に似たのかも知れませんね。

先生、昨日僕は久し振りに図書館へ行きました。