Clásicos japoneses con furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lee 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 239.741 caracteres · 486 pantallas
「ならないね。古郷へ廻る六部は気のよわり。僕は永遠に巡礼者だ。そう思っているんだ。」
「渡り鳥?」
「うん、渡り鳥だ。」
「でも、もう直き御家族の方をお呼び寄せになるのでしょう?」
「いや、女房子供は当分本州の北端に閉じ籠めて置くつもりだ。やもめ暮しの味もいいものだね。僕はこの頃、西行、芭蕉がとても懐かしい気がするんだ。慕わしいね。」
「それでは奥さんがお気の毒ですわ。」
「女房なんて、子供をあてがって置けばいいんだよ。」
「まあ。」
「それにね、僕は近々に妾宅を構えようともくろんでいるんだ。」
「まあ。」
相手の驚きがあまり真剣なので私もあわてて、
「いや、実のところはまだ空想の域を脱しないんだ。第一、候補者だってあるわけじゃなし。」
「物色中ですか?」とこれももう笑い顔になっていた。
「そうだ、物色中なんだ。」
「でも、妾宅なんて、なんですか、芭蕉の風流を慕う生活とは裏腹のような気がしますわ。」
「それこそ俗論だ。妾宅こそは男子の風流生活の深奥に光っている、究極の実在だ。男子たる者はそこに辿りつくことによって、その風流生活を完成出来るんだ。一切の家庭生活は灰色だ、緑なのはただ黄金なす妾宅生活だ。