Clásicos japoneses con furigana
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おちばのとなり
落葉の隣り
山本 周五郎
Lee 落葉の隣り (おちばのとなり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 28.877 caracteres · 57 pantallas
五月はじめの或る午後、――御蔵の渡しと呼ばれる渡し場の近くで、繁次はおひさに蟹を捕ってやっていた。隅田川の石垣にしがみついて、石の隙間にいる蟹を捕るのだが、五つ六つ捕ったとき、近所の子供たちが五人ばかりやって来て、「坊主、坊主、――」とからかいだした。寺から帰ってまだ十日ほどにしかならず、彼の頭はまだ坊主だった。自分でもそれが恥ずかしいので、長屋の子供たちを避けていたくらいだから、繁次はふるえるほどはらが立った。かれらの中には鉄造、与吉などという乱暴者がいて、繁次をからかいながら、おひさの小桶を取りあげて、中の蟹を川の中へ抛り投げてしまった。おひさの泣きだす声を聞いて、繁次は石垣をよじ登ろうとした。鉄や与吉は腕力が強い、とうていかなう相手ではないが、とびついていって指の一本も食い千切ってやろうと思ったのだ。
そのとき参吉があらわれた。
「おい鉄、よせよ」と参吉がおっとりした声で云った、「五人がかりで一人をいじめるなんてみっともねえぞ」
「あたしのもよ」とおひさが泣きながら小桶を指さした、「あたしの蟹も逃がしちゃったのよ」
「いやなやつらだな」と云って、参吉は唾を吐いた、「いっちまえよ、鉄」