Clásicos japoneses con furigana
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らくご・きょうそれつでん
落語・教祖列伝
Lee 落語・教祖列伝 (らくご・きょうそれつでん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.807 caracteres · 28 pantallas
多茂平は谷底の岩へ腰を下して、おもむろに包みをといて、子供の頭ほどあるお握りをとりだして、あたえた。カメはアリアリおどろいて、叫んだ。
「これは、米のムスビだぞ!」
「そうだ。米のムスビだ。ほしかったら、くえ。いくつでもある」
「よし。いくつでも、あるな」
「食えるだけ、やる」
カメはムスビにがぶりついた。多茂平は自分用のムスビをとりだして、たべた。カメはそれをのぞきこんで、自分のものと見くらべながら、
「それは変なものがはいっているな? それは、なんだ? ウヌだけ変なものを食っているな」
「どれ? お前のは何がはいっとる?」
「オレのは、梅干だ」
「そうか。オレのはミソ漬だ。ミソ漬のムスビがよければ、それをやるぞ」
カメはいそいで梅干のムスビをくい終ると、ミソ漬のムスビをくった。そして、心底から嘆声をもらした。
「ミソ漬のムスビは、うまいなア!」
カメの離山の決心は、これでどうやら、ついたらしい。しかし、カメは、もう一つ、条件をだした。
「オレにヨメくれるか。ヨメくれると、町に住んでやってもいいと思うな」
なるほどカメも二十五六にはなっているはずだ。生れついてのバカでも、ヨメは欲しかろう。