Clásicos japoneses con furigana
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くらのにかい
蔵の二階
豊島 与志雄
Lee 蔵の二階 (くらのにかい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 13.351 caracteres · 27 pantallas
不眠症で夜通し一睡もしなかった、などと訴える人もあるが、医者に言わせれば、実際は相当に眠ってるものらしい。夜中に眼がさめて、一時間も二時間も時計の音に注意してるつもりでも、実際はその間にうとうとして、時計の音を聞きもらすことがある筈だし、三十分毎の一つの音だけを耳に入れるのであろう。
「それにしても、丁度三十分の音だけ聞こえるというのが、ふしぎだよ。」
それを不思議とするならば、実は、実の笹藪の音をはっきり聞き取るというのが、第一に不思議だった。土蔵の中には、だいたい、屋外の物音はあまり伝わらない筈である。桂介はそれを何度か経験した。まだ子供の頃、暴風雨の烈しい折、建て直し以前の古い家屋がみしみし揺れて、恐ろしくなり、泣きだしたくなり、祖母に連れられて土蔵の中に避難したことがある。土蔵の中にはいると、まるで夢のような心地だった。外に荒れ狂ってる暴風雨の音は、遠くへ消え去ってしまい、土蔵の中はひっそりと静まり返っていて、別世界の感じだった。想像も及ばないほどの不思議さだ。ふだんは、土蔵の中は薄暗い冷々とした不気味な場所だったが、暴風雨の時には、全く安らかな隔離された場所だった。