Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
何が出てくるのかと思いながら眺めている。両手を洋袴の隠袋に挿し込むのは落ちつかぬ時の、落ちついた姿である。
「そこを曲ると真直です」と云う下女の声が聞えたと思うと、すらりと小夜子の姿が廊下の端にあらわれた。海老茶色の緞子の片側が竜紋の所だけ異様に光線を射返して見える。在来りの銘仙の袷を、白足袋の甲を隠さぬほどに着て、きりりと角を曲った時、長襦袢らしいものがちらと色めいた。同時に遮ぎるものもない中廊下に七歩の間隔を置いて、男女の視線は御互の顔の上に落ちる。
男はおやと思う。姿勢だけは崩さない。女ははっと躊躇う。やがて頬に差す紅を一度にかくして、乱るる笑顔を肩共に落す。油を注さぬ黒髪に、漣の琥珀に寄る幅広の絹の色が鮮な翼を片鬢に張る。
「さあ」と小野さんは隔たる人を近く誘うような挨拶をする。
「どちらへか御出掛で……」と立ちながら両手を前に重ねた女は、落した肩を、少しく浮かしたままで、気の毒そうに動かない。
「いえ何……まあ御這入んなさい。さあ」と片足を部屋のうちへ引く。
「御免」と云いながら、手を重ねたまま擦足に廊下を滑って来る。
男は全く部屋の中へ引き込んだ。