Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
親譲りの背広を着た男は、丸い眼を据えて、室の中に聳える、漆のような髪の主を見守った。次に丸い眼を据えて、壁の上にある故人の肖像を見守った。最後に漆の髪の主と、故人の肖像とを見較べた。見較べてしまった時、聳えたる人は瘠せた肩を動かして、宗近君の頭の上から云う。――
「父は死んでいる。しかし活きた母よりもたしかだよ。たしかだよ」
椅子に倚る人の顔は、この言葉と共に、自からまた画像の方に向った。向ったなりしばらくは動かない。活きた眼は上から見下している。
しばらくして、椅子に倚る人が云う。――
「御叔父さんも気の毒な事をしたなあ」
立つ人は答えた。――
「あの眼は活きている。まだ活きている」
言い終って、部屋の中を歩き出した。
「庭へ出よう、部屋の中は陰気でいけない」
席を立った宗近君は、横から来て甲野さんの手を取るや否や、明け放った仏蘭西窓を抜けて二段の石階を芝生へ下る。足が柔かい地に着いた時、
「いったいどうしたんだ」と宗近君が聞いた。
芝生は南に走る事十間余にして、高樫の生垣に尽くる。幅は半ばに足らぬ。繁き植込に遮ぎられた奥は、五坪ほどの池を隔てて、張出の新座敷には藤尾の机が据えてある。