Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
「君もこれからか。どうこれからなんだ」と宗近君は煙草の煙を押し開いて、元気づいた顔を近寄た。
「本来の無一物から出直すんだからこれからさ」
指の股に敷島を挟んだまま、持って行く口のある事さえ忘れて、呆気に取られた宗近君は、
「本来の無一物から出直すとは」と自ら自らの頭脳を疑うごとく問い返した。甲野さんは尋常の調子で、落ちつき払った答をする。――
「僕はこの家も、財産も、みんな藤尾にやってしまった」
「やってしまった? いつ」
「もう少しさっき。その紋尽しを書いている時だ」
「そりゃ……」
「ちょうどその丸に三つ鱗を描いてる時だ。――その模様が一番よく出来ている」
「やってしまうってそう容易く……」
「何要るものか。あればあるほど累だ」
「御叔母さんは承知したのかい」
「承知しない」
「承知しないものを……それじゃ御叔母さんが困るだろう」
「やらない方が困るんだ」
「だって御叔母さんは始終君がむやみな事をしやしまいかと思って心配しているんじゃないか」
「僕の母は偽物だよ。君らがみんな欺かれているんだ。母じゃない謎だ。澆季の文明の特産物だ」
「そりゃ、あんまり……」
「君は本当の母でないから僕が僻んでいると思っているんだろう。