Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
春の旅は長閑である。京の宿は静かである。二人は無事である。ふざけている。その間に宗近君は甲野さんを知り、甲野さんは宗近君を知る。これが世の中である。
「立ん坊か」と云ったまま宗近君は駱駝の膝掛の馬簾をひねくり始めたが、やがて
「いつまでも立ん坊か」
と相手の顔は見ず、質問のように、独語のように、駱駝の膝掛に話しかけるように、立ん坊を繰り返した。
「立ん坊でも覚悟だけはちゃんとしている」と甲野さんはこの時始めて、腰を浮かして、相手の方に向き直る。
「叔父さんが生きてると好いがな」
「なに、阿爺が生きているとかえって面倒かも知れない」
「そうさなあ」と宗近君はなあを引っ張った。
「つまり、家を藤尾にくれてしまえばそれで済むんだからね」
「それで君はどうするんだい」
「僕は立ん坊さ」
「いよいよ本当の立ん坊か」
「うん、どうせ家を襲いだって立ん坊、襲がなくったって立ん坊なんだからいっこう構わない」
「しかしそりゃ、いかん。第一叔母さんが困るだろう」
「母がか」
甲野さんは妙な顔をして宗近君を見た。
疑がえば己にさえ欺むかれる。まして己以外の人間の、利害の衢に、損失の塵除と被る、面の厚さは、容易には度られぬ。