Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas

Aozora Bunko

未来の節穴を得意の管から眺めると、薔薇はもう開いている。手を出せば捕まえられそうである。早く捕まえろと誰かが耳の傍で云う。小野さんは博士論文を書こうと決心した。

論文が出来たから博士になるものか、博士になるために論文が出来るものか、博士に聞いて見なければ分らぬが、とにかく論文を書かねばならぬ。ただの論文ではならぬ、必ず博士論文でなくてはならぬ。博士は学者のうちで色のもっとも見事なるものである。未来の管を覗くたびに博士の二字が金色に燃えている。博士の傍には金時計が天から懸っている。時計の下には赤い柘榴石が心臓の焔となって揺れている。その側に黒い眼の藤尾さんが繊い腕を出して手招ぎをしている。すべてが美くしい画である。詩人の理想はこの画の中の人物となるにある。

昔しタンタラスと云う人があった。わるい事をした罰で、苛い目に逢うたと書いてある。身体は肩深く水に浸っている。頭の上には旨そうな菓物が累々と枝をたわわに結実っている。タンタラスは咽喉が渇く。水を飲もうとすると水が退いて行く。タンタラスは腹が減る。菓物を食おうとすると菓物が逃げて行く。タンタラスの口が一尺動くと向うでも一尺動く。