Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
「時に何時かな、君ちょっと時計を見てくれ」
「二時十六分だ」
「二時十六分?――それが例の恩賜の時計か」
「ああ」
「旨い事をしたなあ。僕も貰って置けばよかった。こう云うものを持っていると世間の受けがだいぶ違うな」
「そう云う事もあるまい」
「いやある。何しろ天皇陛下が保証して下さったんだからたしかだ」
「君これからどこかへ行くのかい」
「うん、天気がいいから遊ぶんだ。どうだいっしょに行かんか」
「僕は少し用があるから――しかしそこまでいっしょに出よう」
門口で分れた小野さんの足は甲野の邸に向った。
五
山門を入る事一歩にして、古き世の緑りが、急に左右から肩を襲う。自然石の形状乱れたるを幅一間に行儀よく並べて、錯落と平らかに敷き詰めたる径に落つる足音は、甲野さんと宗近君の足音だけである。
一条の径の細く直なるを行き尽さざる此方から、石に眼を添えて遥かなる向うを極むる行き当りに、仰げば伽藍がある。木賊葺の厚板が左右から内輪にうねって、大なる両の翼を、険しき一本の背筋にあつめたる上に、今一つ小さき家根が小さき翼を伸して乗っかっている。風抜きか明り取りかと思われる。