Clásicos japoneses con furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Lee 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 162.569 caracteres · 336 pantallas
「竿を持って来い、竿を」
大勢の人ががやがや騒ぎ立てました。
悪魔は川に落っこって、眼を白黒さしていましたが、やがて気が静まると、きらきら光ってる太陽が見えます。岸に立って騒いでる大勢の人が見えます。うらめしそうな顔をしてるハイカラ紳士も見えます。
「はてどこへ逃げたらいいかしら」
そう思って見廻すと、川の岸の石垣に、大きな円い穴が口を開いて、汚い水が中から流れ出ています。嗅ぎなれたくさい匂いがしています。
「これだ」と悪魔は心の中で叫びました。「俺の住居だ。下水道の出口だ」
そして、帽子が水に流されるようなふうをして、つーっと泳ぎだして、下水道の口の中に飛びこみました。
それを見て、岸の上では大変な騒ぎになりました。
「帽子が泳いだ」
「下水道の中に飛び込んだ」
「お化けの帽子だ、お化けだ」
「不思議な帽子だ」
わいわい騒ぎ立てて下水道の口をのぞいています。しかしいつまでたっても、もう帽子は二度と出て来ませんでした。
帽子はもうちゃんともとの悪魔の姿になって、下水道の口からちょっとのぞいて大勢の人を見ると、こそこそと中の方へはいってゆきました。
「あぶないところだった。