Clásicos japoneses con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lee 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 23.548 caracteres · 47 pantallas
と半太夫は云った、「おそらく養生所はじまって以来のことだろう、おれはそう気がついて心が重くなった、――この世に生きていて、この眼で、人が仕合せになるのを見るということがいかに稀であるか、と思ってね」
そうだ、人が幸福にやっているのを見ることは極めて稀だ、と登は心の中で頷いた。猪之とお杉だって将来のことはわからない、夫婦になれるよろこびは短いが、生きてゆく年月は長いからな。そう思いながら、登は首を振って笑った。
「どうもこういうところにいると」登は云った、「考えることがとしより臭くなっていけないな、いや、おれ自身のことだよ」
明くる日、登が去定の供をしてでかけるとき、門のところで、知らない男に呼びとめられた。いま門番に教えられたらしい、「保本先生ですか」と呼びながら近づいて来た。印半纏に股引、草履ばきで、年は二十六七。背丈は低いが逞しい躯つきで、口のまわりから両の頬まで濃い無精髭が伸びていた。
「あっしは音羽から来ました」と男はしゃがれた声で云った、「角三と同じ長屋にいる、大工の与平てえ野郎です」
刷毛屋の源治たちを引取った男だな、と登は思った。
「角三の容態でも変ったのか」