Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lee 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 20.384 caracteres · 41 pantallas
彼女はその動作をしながら続けた、「こんなふうに、――あたしが釵でどうしたかわかりますか、自分が殺されるくらいなら相手も殺してやろうと思ったんです、悪いのはあたしだけではない、あたしはそんなことは望まなかったのだ、もしもそれが罪なことなら、男だって死ななければならない、――そう思ったんです」
登は女の顔に痙攣が起こり、表情が歪んで、唇のあいだから歯のあらわれるのを見た。彼は女のからだを押しのけようとした、けれども全身が脱力し、痺れたようになっていて、指を動かすことさえできないのを感じた。
――夢だ。これは夢だ。
悪夢にうなされているのだ、と登は思った。女は逆手に持った釵を、静かに、彼の左の耳のうしろへ押し当てた。
「あたしこうしたのよ」と女は云った、「店の者はなにも知らずに、もっと手を伸ばしてきたわ、あたしが自由になるものと思ったのね、うわ言のようなことを云いながら、手に力をいれはじめたわ、こんなふうに」
彼女は店の者を殺したことを、そのままやってみせようとしているのだ。登は眼がくらんだ。彼女の声が耳いっぱいに聞えた。彼女は勝ち誇ったように叫んだ。
「そのときあたし、この釵をぐっとやったの、ちょうどここのところよ、ここを力まかせにぐっと、力まかせに――」