Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あかごうしくろうえもんのむすめ

赤格子九郎右衛門の娘

国枝 史郎

Lee 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 16.174 caracteres · 33 pantallas

Aozora Bunko

「へえへえ宜敷うござります」

船は闇夜の海の上を矢のように陸の方へ駛って行く。

その翌日のことであった。

落花を掃きながら忠蔵はそれとなく亭の方へ寄って行った。亭の中にはお菊がいる。とほんとしたような顔をして当てもなく四辺を眺めている。

「姐御、変なことになりましたぜ」

忠蔵は窃っと囁いた。

「昨夜の女が死にもせず、旦那に命を助けられてここへ来ようとはコリャどうじゃ」

「お釈迦様でも知らないってね、……お前さんはそれでもまだいいよ。妾の身にもなってごらん。本当に耐ったものじゃないよ。とにかく妾はあの女を川へ蹴落したに相違ないんだからね。これが旦那に暴露ようものなら妾達の素性も自然と知れ、三尺高い木の上で首を曝さなけりゃならないんだよ」

「姐御、逃げやしょう。逃げるが勝だ」

「そうさ、逃げるが勝だけれど、親の敵を討ちもせず、あべこべに追われて逃げるなんて妾は癪でしかたがないよ」

「と云ってみすみすここにいてはこっちのお蔵に火が付きやすぜ」

「とにかくもう少し様子を見ようよ。と云って妾は行かれない」

「へえそれじゃこの私に様子を見ろと仰有るので? どうもね、私にはその悠長が心にかかってならないのですよ。