Clásicos japoneses con furigana
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
Lee 趣味の遺伝 (しゅみのいでん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 38.235 caracteres · 77 pantallas
一度の経験でも御多分には洩れん。箔屋町の大火事に身代を潰した旦那は板橋の一つ半でも蒼くなるかも知れない。濃尾の震災に瓦の中から掘り出された生き仏はドンが鳴っても念仏を唱えるだろう。正直な者が生涯に一返万引を働いても疑を掛ける知人もないし、冗談を商売にする男が十年に半日真面目な事件を担ぎ込んでも誰も相手にするものはない。つまるところ吾々の観察点と云うものは従来の惰性で解決せられるのである。吾々の生活は千差万別であるから、吾々の惰性も商売により職業により、年齢により、気質により、両性によりて各異なるであろう。がその通り。劇を見るときにも小説を読むときにも全篇を通じた調子があって、この調子が読者、観客の心に反応するとやはり一種の惰性になる。もしこの惰性を構成する分子が猛烈であればあるほど、惰性その物も牢として動かすべからず抜くべからざる傾向を生ずるにきまっている。マクベスは妖婆、毒婦、兇漢の行為動作を刻意に描写した悲劇である。読んで冒頭より門番の滑稽に至って冥々の際読者の心に生ずる唯一の惰性は怖と云う一字に帰着してしまう。過去がすでに怖である、未来もまた怖なるべしとの予期は、自然と己れを放射して次に出現すべきいかなる出来事をもこの怖に関連して解釈しようと試みるのは当然の事と云わねばならぬ。