Clásicos japoneses con furigana
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どうひょう
道標
宮本 百合子
Lee 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 846.457 caracteres · 1672 pantallas
伸子にはそう感じられないのだった。
「いいと思うな。スーツが女のなりの基本になっているだけのことはある。しゃんとしてるもの」
ウィーンでも素子のこしらえたのは二組のスーツだった。一着は、いまつくろっている上着とそろいの。もう一つは、ひどくしゃれた渋いスーツで、紺地におもしろい縞がほそく出ているコートとスカートに、とも色でドローンワークした白いクレープ・デシンのブラウスが組み合わされた。伸子は、その同じ店で、おちついた細かい格子のワンピースにともの春外套のついたのを選んだ。その薄毛織地のワンピースの衿のところには、肌色と紺のなめしがわでこしらえた椿の花の飾がついている。ベルリンへ来てから、伸子は初夏用の服を一着買った。それもさらりとした肌ざわりの、月光のような色あいのワンピースである。
伸子はしばらくだまっていて、
「そう云えば、わたしはスーツきないわねえ」
と云った。
「どうしてかしら。――旅行用にでもきる気がしない」
「そりゃそうさ。ぶこちゃんみたいなはいはい人形がスーツきられるもんか、窮屈で――」
たしかにそれもそうだった。素子のすらりとした体つきから見れば、伸子はまるまっちくて、手脚が短かいのだから。