Clásicos japoneses con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lee 野菊の墓 (ななこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 71.271 caracteres · 144 pantallas
おとよさんにあやまらせろというなら、どのようにもあやまらしょう」
「どうか旦那、もう堪忍してやってください」
「てめいが何を知る、黙ってろ」
薊も長い間の押し問答の、石に釘打つような不快にさっきからよほど劫が沸いてきてる。もどかしくて堪らず、酔った酒も醒めてしまってる。
「どうでも土屋さん、もうえい加減にうんといってください。一体筋道とはどういう事です」
「筋道は筋道さ、親の顔が立ちさえすればえい。親の理屈を丸つぶしにして、子の我儘をとおすことは……」
薊の顔は見る見る変ってきた。灰吹きを叩く音も際立って高い。しばらく身をそらして老人を見おろしていたが、
「ウム自分の顔の事ばかりいってる。おれの顔はどうする、この薊の顔はどうするつもりだ。勝手にしろ、おッ母さん、とんだお邪魔をしました」
薊は身を飜して降り口へ出る、母はあとからすがりつく、お千代も泣きつく。おとよは隣座敷にすすり泣きしている。薊はちょっと中戻りしたが、
「帰りがけに今一言いっておく。親類も糞もあるもんか、懇意も糸瓜もねいや、えい加減に勝手をいえ、今日限りだ、もうこんな家なんぞへ来るもんか」
薊は手荒く抑える人を押し退けて降りかける。