Clásicos japoneses con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lee 野菊の墓 (ななこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 71.271 caracteres · 144 pantallas
母は少し省作を睨むように見て、
「別に面白く暮す工夫て、お前どんな工夫があるかえ。お前心得違いをしてはならないよ。深田にいさえすればどうもこうも心配はいらないじゃないか。厭と思うのも心のとりよう一つじゃねいか。それでお前は今日どういって出てきました」
「別にむずかしいこと言やしません。家へいってちょっと持ってくるものがあるからって、あやつにそう言って来たまでです」
「そうか、そんなら仔細はないじゃないか。おらまたお前が追い出されて来ましたというから、物言いでもしてきた事と思ったのだ。そんなら仔細はない、今夜にも帰ってくろ。お前の心さえとりなおせば向うではきっと仔細はないのだよ。なあ省作、今お前に戻ってこられるとそっちこちに面倒が多い事は、お前も重々承知してるじゃねいか」
省作はまただまってる。母もしばらく口をあかない。省作はようやく口重く、
「おッ母さんがそれほど言うなら、とにかく明日は帰ってみようけれど、なんだかわたしの気が変になって、厭な心持ちでいたんだから、それで向うでも少し気まずくなったわけだとすると、わたしは心をとりなおしたにしろ、向うで心をなおしてくんねば、しようがないでしょう」