Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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かわぐちこ

野菊の墓他六篇

伊藤 左千夫

Lee 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 30.105 caracteres · 61 pantallas

Aozora Bunko

「なァにできるならやるがえいさ。じっとしていたんじゃ、だいいち体のためにもよくないから」

「そんなつもりでやるにやっても、あんまり骨が折れるとばかばかしくてねィ。せっかく来てくれてもこのさまではねィ、妾ゃまた盆にくるだろうと思ってました」

「百姓家だものこのさまでけっこうですよ。何も心配することはありゃしないさ」

「そりゃそうだけれどねィ」

姉妹はいつの間に庭へ降りたか、千日草浦島草のまわりで蝶や蜻蛉を追いまわしているようすだ。予は自分で奥の雨戸を繰りやって、あたりをかたづけた。姉もようやく一きまりをつけて奥へくる。例のとおり改まってばかていねいに挨拶をする。そして茶をわかすからといって立った。

蚊帳の釣り手は三隅だけはずして、一隅はそのままむちゃくちゃに片寄せてある。夜具も着物も襖の隅へ積み重ねたままである。朝起きたなりに、座敷の掃除もせぬらしい。昔からかかってる晴耕雨読の額も怪しく蜘蛛の巣が見える。床の間にはたたんだ六枚折りの屏風が立てかけてあって、ほかに何やかやごてごてと置いてある。みえも飾りもないありさまである。

若夫婦は四、五年東京に出ているところへ、三年前に老母がなくなり、この一月また八十五歳の父が永眠した。