Clásicos japoneses con furigana
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きんぎょりょうらん
金魚撩乱
岡本 かの子
Lee 金魚撩乱 (きんぎょりょうらん) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 33.999 caracteres · 67 pantallas
その程度の夫なら、むしろ持っていてくれる方が、自分は安心するかも知れない。
「ときどきものを送って下さって有難う」
「これは湖のそばで出来た陶ものです」
復一は紙包を置いて立ち上った。
「まあ、お気の毒ね。復一さんが帰ってらして私も心強くなりますわよ」
復一は逢ってみれば平凡な彼女に力抜けを感じた。どうして自分が、あんな女に全生涯までも影響されるのかと、不思議に感じた。薄暗くなりかけの崖の道を下りかけていると、晩鶯が鳴き、山吹がほろほろと散った。復一はまたしてもこどもの時真佐子の浴せた顎の裏の桜の花びらを想い起し、思わずそこへ舌の尖をやった。何であろうと自分は彼女を愛しているのだ。その愛はあまりに惑って宙に浮いてしまってるのだ。今更、彼女に向けて露骨に投げかけられるものでもなし、さればと云って胸に秘め籠めて置くにも置かれなくなっている。やっぱり手慣れた生きものの金魚で彼女を作るより仕方がない。復一はそこからはるばる眼の下に見える谷窪の池を見下して、奇矯な勇気を奮い起した。
谷窪の家の庭にささやかながらも、コンクリート建ての研究室が出来、新式の飼育のプールが出来てみれば、復一には楽しくないこともなかった。