Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lee 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.251 caracteres · 39 pantallas

Aozora Bunko

誰もいない様子だった。

が、若い衆が案内して、その狭い廊下を進んで行くと、真ん中辺からすこし向うへ寄った薄ぐらいところに、何か黒い大きなかたまりのようなものが倒れているのが、だんだんはっきり眼にはいってきた。そこへ行く途中、横隣の部屋の障子がすこし開いていて、出の仕度のできた操り人形の小屋台が置いてあるのが見えた。それは、文机ほどの大きさで、上から糸で人形を垂らして、舞台になるものだった。今夜あとから出ることになっている、有名な竹久紋之助の人形というのは、これだなと思って、藤吉は通り過ぎて行った。

「ほかの者はみんなどうしたんだ。」

藤吉はそう言って、屍骸の上に屈み込んだ。屍骸――もうそれは、屍骸に相違なかったが、あの、いま高座を退って来たばかりの力持ち、大石武右衛門の屍骸だった。

そうら、見ろ、だから言わねえこっちゃあねえ。図体の大けえやつはこんなもんだ――といいたげに、藤吉の皮肉な苦笑が彦兵衛をふり返ったが、この藤吉のまぐれ当りの誇りどころか、彦兵衛は、われを忘れたように、武右衛門の死体におどろきの眼を瞠っていた。

「どうしたい、誰もいねえじゃあねえか。