Clásicos japoneses con furigana
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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
Lee 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 106.745 caracteres · 216 pantallas
涙を流して詫びた甲斐もなく、ついに吉兵衛は髻を払われ、座敷から外へ追いやられた。
こんな騒ぎに日が暮れて、間ごとに燈灯が華やかに灯り、艶かしい春の夜となった。
今日は一度も浦里は座敷へ顔さえ出さなかった。奈良茂の機嫌は益※(二の字点、1-2-22)傾き民部や半兵衛の追従口もどうすることも出来なかった。
ちょうどこの夜の丑満時のこと、隅田川に沿った駒形の土手を、静かに歩いて行く三人連れがある。紅縮緬で覆面をし燦やかの大小を落とし差しに佩き、悠然と足を運ぶ様子に、腕に自信のあることが知れる。
真っ先に進むは若衆と見えて匂うばかりの振り袖に紅の肌着の袖口長く、茶宇の袴の裾を曳き、気高い態に歩いて行く。その次に行くのは女であった。時鳥啼くや五尺の菖蒲草を一杯に刺繍った振り袖に夜目にも著き錦の帯をふっくりと結んだその姿は、気高く美しくたけて見える。最後に進むは奴姿の雲突くばかりの大男でニョッキリ脛を剥き出しているのもそれらしくて勇ましい。
空には上弦の初夏の月が、朧ろに霞んだ光を零し、川面を渡る深夜の風は並木の桜の若葉に戦いで清々しい香いを吹き散らす。
三人の者は話さえせずただ黙々と歩いて行く。