Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 157.440 caracteres · 313 pantallas

Aozora Bunko

お楽は側から声援をおくるのです。

「でも、その嫁入り先の名前だけは堪忍して下さい。いくらなんでも私はきまりが悪い」

お銀はそういって照れ隠しらしく銚子を代えるのです。

やがて灯りが入りました。八五郎は、昨夜からのごちそう攻めで、さすがにげんなりしてしまったものか、しきりに尻をモジモジさしておりますが、肝腎の平次は悠然と坐り込んで、テコでも動きそうはありません。

「ちょいと八五郎親分」

「何んだえ、用事があるならそこで言いねえ。障子のすき間から、おいでおいでなんかしやがって、気味が悪いじゃないか」

「だからさ、口説くかも知れないから、ちょいと、お耳を貸して下さらない?」

それはお楽でした。キビキビした調子で、男にいやとはいわさない呼吸です。

「何んだい用事は?」

「ま、なんてお顔だろう、――女の子に呼ばれたら、もっと器用に返事をするものよ」

「口説いたってダメだよ。先口がつかえているんだから」

「八五郎親分の煙管みたいね」

「何をいやがる」

八五郎は脂でジワジワする煙管をあわてて仕舞い込みました。どうもこの女とはまともに太刀打ちが出来そうもありません。

「だから、ちょいといらっしゃいよ、――ね八五郎親分、お銀さんの心持が親分にはわからないのかねえ」