Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 鬼の面
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 130.082 caracteres · 257 pantallas
「もう四半刻も前に人をやったが、何んとも返事がありません。跡取がこんな死様をしたことが世上の噂に上ると、家名に拘わるとでも思って居るんだろう」
町役人の一人は、いかにも苦々しいと言った調子です。家名を救うためには、倅の一人位を犠牲にしても、大した不都合とも思わないのが、その頃の武家の慣わしだったのです。
「でも、知らぬ存ぜぬでは済むまいよ、これが佐久間町の伊保木様の跡取ということは、路地へ入って来た、何百という野次馬が皆んな知って居るから」
もう一人の町役人は口を尖らせます。
平次は筵をあげて、一応死骸を見ましたが、あまりの虐たらしさに、ハッと眼を閉じたのも無理はありません。
伊保木金太郎は二十一、二、まだ蔓草のような匂いのする青侍でした。色白の華奢な方で、身体も手足も細く、薄肉で眼鼻の無暗に大きいところや、顎のあたりが歪んでいる様子は、肉体的にも性格的にも、畸形な感じを抱かせるに充分です。
身扮は案外地味で、眼立たぬ紬の小袖、木綿の黒っぽい袴、忍ぶ身にはふさわしい身扮でしょう。それが下半身夥しい血潮に濡れて、病的な顔にコビリ着いた、恐怖と苦悩の表情は、無気味という一語に尽きました。