Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 114.139 caracteres · 233 pantallas
もう一人はお半といって丸屋の掛り人ですが、死んだ六兵衛の女房の姪で、とって二十二になる小意気な年増女です。
「若旦那」
「あ、お半か」
染五郎は不意に階下から声を掛けられて、窓格子にしがみ付いた顔を離しました。
「可哀想に、お絹さんが合図をしていますね」
「…………」
お半は何もかも知っていたのです。
「呼んでおあげなさいよ、若旦那。――これっきり別れ話になると、お絹さんは生きちゃいませんよ」
お半はホロリとするのです。小意気ではあるが、自分の醜さを意識しているお半は、お絹と染五郎の仲を、犠牲的な心持で同情してやっているのでした。
「どうすればよいのだ、お半」
「鎧の渡しは人目に立つが、大廻りに橋を渡って来る分には、江戸の街に関所はありゃしません。暗くなったらここへ来るように、合図をして御覧なさいよ」
「合図」
「赤い扱帯が〈万事上首尾、忍んで来い〉という合図じゃありませんか」
「えッ」
「私が知らないと思っていらっしゃるの、若旦那。――長いあいだ見せつけられたんですもの、どんな事でも見通しよ。ホ、ホ」
お半は少し蓮っ葉に言って、笑いを噛み殺すのです。
「?」
「若旦那の方から行かれないんだから、こんどはお絹さんが通う番じゃありませんか。