Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控(十四)雛の別れ (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 114.139 caracteres · 233 pantallas
人足は次第に疎らになって、八五郎もあまり駕籠の側へは寄るわけに行きませんが、中から落す品は青銭になり、小粒になり、簪になり、五丁に一つ、三丁に一つの割合で絶えず八五郎の注意を惹き付けるのでした。
金杉を渡って、芝、田町へ差し掛ると、懐中鏡が一つ抛り出されたのを最後に、駕籠はピタリと停りました。が、駕籠の側に付いていた若い男が、何やら駕籠屋に耳打ちをすると、そのまま駕籠をあげて銀鼠色の夕靄に包まれた暮の街を、ヒタヒタと急ぎます。その頃から八五郎の追跡も一段と熱を加えて、もうすきっ腹も、疲れも忘れておりました。
高輪北町へ差し掛った頃は、すっかり暗くなりました。が、駕籠は灯も入れず、ただひたむきに急ぐばかりです。往来が暗くなったせいか、駕籠からはもう何にも落ちません。
「あッ、野郎ッ、挨拶をしろ。いきなり人に突き当って」
それは全く不意でした。東禅寺門前あたりから飛び出した遊び人風の男が一人、一生懸命に先を急ぐ八五郎にドカンと突き当ると、いきなり火のつくような剣突きを喰わせるのです。
「勘弁しねエ、過ちはお互だ」
八五郎は軽くあしらって一歩踏み出しました。