Clásicos japoneses con furigana
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くにさだえがく
鏡花短篇集 川村二郎編
泉 鏡花
Lee 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.644 caracteres · 40 pantallas
「串戯じゃない。」と余りその見透いた世辞の苦々しさに、織次は我知らず打棄るように言った。些とその言が激しかったか、
「え。」と、聞直すようにしたが、忽ち唇の薄笑。
「ははあ、御同伴の奥さんがお待兼ねで。」
「串戯じゃない。」
と今度は穏かに微笑んで、
「そんなものがあるものかね。」
「そんなものとは?」
「貴下、まだ奥様はお持ちなさりませんの。」
と女房、胸を前へ、手を畳にす。
織次は巻莨を、ぐいと、さし捨てて、
「持つもんですか。」
「織さん。」
と平吉は薄く刈揃えた頭を掉って、目を据えた。
「まだ、貴下、そんな事を言っていますね。持つものか! なんて貴下、一生持たないでどうなさる。……また、こりゃお亡くなんなすった父様に代って、一説法せにゃならん。例の晩酌の時と言うとはじまって、貴下が殊の外弱らせられたね。あれを一つ遣りやしょう。」
と片手で小膝をポンと敲き、
「飲みながらが可い、召飯りながら聴聞をなさい。これえ、何を、お銚子を早く。」
「唯、もう燗けてござりえす。」と女房が腰を浮かす、その裾端折で。
織次は、酔った勢で、とも思う事があったので、黙っていた。
「ぬたをの……今、私が擂鉢に拵えて置いた、あれを、鉢に入れて、小皿を二つ、可いか、手綺麗に装わないと食えぬ奴さね。