Clásicos japoneses con furigana
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くにさだえがく
鏡花短篇集 川村二郎編
泉 鏡花
Lee 鏡花短篇集 川村二郎編 (くにさだえがく) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.644 caracteres · 40 pantallas
飯を食べに行っても可、ちょいと珈琲に菓子でも可、何処か茶店で茶を飲むでも可、別にそれにも及ばぬ。が、袷に羽織で身は軽し、駒下駄は新しし、為替は取ったし、ままよ、若干金か貸しても可い。
「いや、串戯は止して……」
そうだ! 小北の許へ行かねばならぬ――と思うと、のびのびした手足が、きりきりと緊って、身体が帽子まで堅くなった。
何故か四辺が視められる。
こう、小北と姓を言うと、学生で、故郷の旧友のようであるが、そうでない。これは平吉……平さんと言うが早解り。織次の亡き親父と同じ夥間の職人である。
此処からはもう近い。この柳の通筋を突当りに、真蒼な山がある。それへ向って二町ばかり、城の大手を右に見て、左へ折れた、屋並の揃った町の中ほどに、きちんとして暮しているはず。
その男を訪ねるに仔細はないが、訪ねて行くのに、十年越の思出がある、……まあ、もう少し秘して置こう。
さあ、其処へ、となると、早や背後から追立てられるように、そわそわするのを、なりたけ自分で落着いて、悠々と歩行き出したが、取って三十という年紀の、渠の胸の騒ぎよう。さては今の時の暢気さは、この浪が立とうとする用意に、フイと静まった海らしい。