Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あめあがる

雨あがる

山本 周五郎

Lee 雨あがる (あめあがる) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 21.794 caracteres · 43 pantallas

Aozora Bunko

売るのである。泊る宿もしだいに格が下って、いつかしらん木賃宿にも馴れた。もともと彼は子供が好きなので、そんなあきないも決して不愉快ではないし、安宿の客たちも(例外はあるが)純朴で人情に篤く、またお互いが落魄しているという共通の劬りもあって、いかにも気易くつきあうことができた。

「それが身に付いてしまったのだ、なさけない、なさけないと思いませんか、伊兵衛うじ」

彼はべそをかき、溜息をした。気がつくと松林の中に立停ったままで、しきりに笠を雨垂れが叩いていた。

「もうそろそろ本気にならなければ、いくらなんでもおたよが可哀そうじゃないか、おたよがどんな気持でいるか、ということを考えたら、そうでしょう、そうだろう伊兵衛」

彼はふと脇のほうへ振向いた。そっちのほうで人声がし始めたからである。見ると松林のすぐ向うの草原に、四五人の侍たちが集まってなにか話していた。簑笠を衣て釣り竿を持って、こんな処にぼんやり佇んでいる恰好をみつかったら恥ずかしい。いそいで歩きだそうとしたが、そこでまた振返った。なにか険悪な声がしたと思ったら、侍たちがぎらりぎらりと刀を抜いたのである。